老人ホームの夜勤専門要員として、たった一人雇われた私(男46歳)。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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午前6時、室田鉄二さんの様子を見に行くと顔がやけに赤い、全身に発疹も出ている。熱を測ってみると39度あり、口からは粘りの強い濃緑色の痰があふれ出ていて、枕カバーを汚している。ぐったりとベッドに横たわったまま、呼吸が浅い。
これらの症状は過去にも何度か経験済みのものであるが、最近は特に頻度が増している。2週間前の医師の診立てでは、「脳萎縮はあるものの、内科的な疾患はない」との事であった。2~3ヶ月前まであんなに体格の良かった室田さんが、今ではすっかり痩せてしまって、オムツはゆるゆる、足は棒切れのように細い。
出勤して来たホーム長が室田さんの顔を覗き込んで、
「室田さん、もう死ぬんじゃないのかぁ~?」と独り言とも、私への問いかけともとれる言葉を言った。私は
「病院、連れてゆくんですか?」と尋ねたが、
「もう・・、いいんじゃないか」とホーム長。
病院には連れて行かない、死ぬなら死んでもいい、という事か。
室田さんのご家族も、以前から「全て、施設の判断に任せます」との事なのだ。
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★ プロフィール
HN:
井森 勝男
年齢:
64
性別:
男性
誕生日:
1960/05/05
職業:
夜間専門の介護職員
自己紹介:
某著名企業の総合職であったがほんの些細なことから退職、現在は年収150万で老人ホームの介護職員(夜間専門のパートタイマー)として働いている。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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