老人ホームの夜勤専門要員として、たった一人雇われた私(男46歳)。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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本日出勤すると、いつも居るはずの稲垣清さんの姿が見当たらない。
聞くところによると、かねてから申し込んでいた特別養護老人ホームに空きができ、昼間のうちにそこへ入居したとの事。
短い間だったが、稲垣さんとはいろいろな思い出がある。施設のブラインドを台無しにしたり、大便の付いた手で私と握手をしたこともあった。夜はいつもみんなの先頭に立って徘徊をしていた。でも、稲垣さんの心はずっとここには無くて、いつも微笑みながら遠い目をしてたよね。
特別養護老人ホームの事を、「うんこ製造工場」と揶揄する介護員もいるけど、フロアー一面に寝かされた老人達が、日夜、大小便をする為だけに生かされているような光景を思うと、当たらずとも遠からずかなと思う。
おめでとう、稲垣さん。待った甲斐あって、やっと製造工場の正社員だね。
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★ プロフィール
HN:
井森 勝男
年齢:
64
性別:
男性
誕生日:
1960/05/05
職業:
夜間専門の介護職員
自己紹介:
某著名企業の総合職であったがほんの些細なことから退職、現在は年収150万で老人ホームの介護職員(夜間専門のパートタイマー)として働いている。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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