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午後9時30分、就寝前のオムツ交換の最後は、最近とみに体が弱った室田鉄二さんだ。食堂中央にいた室田さんだが、トイレまで連れてゆくのが面倒になって、その場でオムツ交換をしてみた。イスから立って、テーブルに手を突いてもらう。足腰もだいぶ弱っているので、立っているのがやっとなのだろう、膝がプルプルと震えている。
「じっとしててよ、室田さん。」
最近の室田さんは言葉をほとんど喋れなくなっていて、されるまま、無言で立っている。
ズボンを下げ、オムツをはずしたところで、ふと、替えのオムツを用意していなかった事に気づき、私は室田さんをそのままにして、トイレまでオムツを取りに行った。
私が戻ったとき、室田さんは小便をしていた。不思議そうに自分の股間をのぞいている。ジョボジョボと太い尿線が、足元に小便の海を作っていた。なぜこんなに出るのかと思うほど、小便は出続けている。
「ひゃあ~、大変だあぁ~!」と私。
煌煌と照明のつく60畳の食堂の真ん中で、ただ一人、下半身はだかの老人が無表情で小便をしている。食堂の隅の方では、起きて来た小杉勘助さんがじっとこちらを見つめている。ホーム長が見たら卒倒しそうな光景だ。
「室田さん、いいかい、動くんじゃないよ!」
小便の出ている股間を、持ってきたオムツで包み込もうとしたのだが、必死な私を神は見放した。プルプルと震えていた膝が限界に達したのか、立っている室田さんが、ゆっくりと小便の海へと沈み込んで行く。同じく小便の海に立っていた私は、懸命に室田さんを支えるのだが、バランスを崩したところで小便に滑り、室田さん共ども海へと倒れ込んだ。横倒れになった二人は前身尿まみれだ。
「ああ、なんてことだ!最悪だ、最悪だ、最悪だあぁ~!!」
全てを片付けた時にはもう、午後11時をまわっていた。私はシャワーを浴びたが、着替えがないので、室田さんのジャージとトレーナーを借りた。身長173センチの私にはサイズが合わなくて、ズボンもトレーナーも七分丈だ。この姿、明日の朝、ホーム長に何と説明しようか。食堂が小便の海になった事は絶対に秘密だ。体の良いストーリーを考えながら、私は仮眠に入った。