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午後7時30分、ホーム長が帰って行った。
「それじゃあ井森さん、あとはよろしくね」
私は玄関ドアの施錠を済ませると、オムツをはいた。
世の中には素っ裸になって、オムツをはいて、それを鏡で見て喜んでいる人間が居るらしいが、私がそうだという事ではない。あるいは、仰向けになって異性にオムツをはかせてもらって喜ぶ輩が居るとも聞くが、そう言う事でもない。
最近、入居者の中で、頻繁にオムツの中から大便を掴み出すご老人が居るので、何とかしようという気持ちから、研究をしているのだ。研究などと書くと、仕事熱心で崇高な志があるかのように見えるかもしれないが、全く違う。できればこんな仕事はやりたくないのだ。この年でもうちょっと小奇麗な仕事にありつけるなら、間違いなくそちらへ行く。オムツの中から大便を掴み出されたのではたまらない、自分が困るのはまっぴらだから、工夫をしているだけだ。
オムツをはいて、腰の周りをテーピングする。
ぐるぐると3~4重くらい巻く。そして、オムツやテープを少し乱暴に揺すったり、引っ張ったりしてみる。
「よし、合格だ。」
今までの試行錯誤の経過を書いおこう。
紙ガムテープ・・・簡単に引きちぎられる
布ガムテープ・・・時々引きちぎられる
アクリルテープ(0.01ミリ厚)・・・簡単に引きちぎられる
アクリルテープ(0.10ミリ厚)・・・丈夫だが高価(50メートル・700円)
そして今回試したのが、アクリルの0.09ミリ厚、50メートルで300円だ。
ニトムズ製のもので、品番は・・・忘れた。
これなら費用対効果の点から、十分に納得が行く。
ちなみに、これまでの研究費は全て自腹だ。最初は0.10ミリ厚のアクリルテープを施設で買ってくれていたのだが、最近は買ってくれなくなった。
高いからでしょう、わかったよ、自分で買うよ。300円のテープ一つで1ヶ月近く使えるから、うんこを掴み出されて、その辺を汚されて苦労させられるよりはずっとマシです。
こんな事を書いていると、読者の皆さんからの声が聞こえてきた。
「それって、拘束にあたるんじゃないの?」
あぁ、そうなの。
それじゃ、今日はこれで・・・。
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