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老人ホームの夜勤専門要員として、たった一人雇われた私(男46歳)。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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  《ああ、また今夜もか・・・》
今は午前2時、毎晩続く強烈な徘徊に私はうんざりしていた。今夜の徘徊リーダーは84歳になる室田鉄二さんだ。リーダーを先頭に、稲垣さん小杉さんと続く。室田さんは小柄だが、厚い胸板と踏ん張りの効きそうな足腰で毎夜迫力のある徘徊を展開している。今夜のように徘徊に勢いがついてくると、何度ベッドまで誘導して寝かせても、瞬く間に起きてくる。殺しても殺しても立ち上がってくる、まるでゾンビ映画のようだ。無駄な事がわかっているので、最近は無理に寝かしつけたりはしない。もう、完全に放任、いや放置だ。ただ、怪我などの事故が起きない様、夜の施設内はさまざまな配慮がなされてはいる。
 私は食堂の仮眠スペースで寝たふりを決め込んでいた。徘徊の物音がうるさくて、とても寝てなんかいられないのだが、起きていると周りを取り囲まれて、うっとうしくてしょうがないのだ。
布団をかぶって見つからないようにしていた私だが、誰かが近寄ってくる足音を感じた。布団をちょっと下げて見てみると室田さんだ。《ああ、見つかるぅ~!》

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★ プロフィール
HN:
井森 勝男
年齢:
64
性別:
男性
誕生日:
1960/05/05
職業:
夜間専門の介護職員
自己紹介:
某著名企業の総合職であったがほんの些細なことから退職、現在は年収150万で老人ホームの介護職員(夜間専門のパートタイマー)として働いている。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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