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老人ホームの夜勤専門要員として、たった一人雇われた私(男46歳)。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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 午前5時、私が仮眠から目覚めると、枕を抱えて食堂横の共用トイレに入ってゆく室田鉄二さんを発見。私も後を追ってトイレへ入る。中を見て驚いた。

「げっ! どうしたのこれ!?」と私。
「どうしたって、なにがよ!?」振り返って怪訝そうに室田さんは答えた。

洋式トイレの便器の上に、敷布団、掛け布団、タオルケット、毛布、シーツがきれいに積んである。そして、あたかも仕上げだ、と言わんばかりに一番上に枕をそ~っと置いている。四角い枕の辺をいかにして、布団の各辺に平行に置くかを苦心している様子であった。 
 こういう時、苦言を言いながら布団を回収する介護員もいるのだろうが、室田さんの性格上、強く反発したり、荒れたりする事が目に見えていたので、私はとりあえずお礼を言った。

 「いや~室田さん、すまないね、ありがとう。いつもこうやってやってくれるから、本当に助かるよ。あとは僕が運んでおくから、室田さんは今日の仕事はあがっていいよ。いまあったかいお茶、入れてあげるからね。」

と言ってさっさと布団を片付けるのである。
その後室田さんがうまそうにお茶を飲んでいたのは言うまでもない。

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★ プロフィール
HN:
井森 勝男
年齢:
64
性別:
男性
誕生日:
1960/05/05
職業:
夜間専門の介護職員
自己紹介:
某著名企業の総合職であったがほんの些細なことから退職、現在は年収150万で老人ホームの介護職員(夜間専門のパートタイマー)として働いている。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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