老人ホームの夜勤専門要員として、たった一人雇われた私(男46歳)。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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平田容子さんは年齢76~77歳のメガネの似合う、上品な感じの女性だ。平田さんは私の名前を覚えてくれている。認知症なので自分の親や子供の名前も出てこないほどなのに、私の名前を覚えているというのはどういうことか。私が胸にネームをつけているせいかもしれない。
話は変わるが職員がネームをつけるということは大切なことだ思う。体を密着させての介助を行うことも多いので、ネームが相手にぶつかったり、外れたりしてよろしくないという意見もあるが、実際に介護の仕事をしていて、ネームが邪魔になったと感じたことはない。
私の父も遠く離れた老人ホームにお世話になっているが、たまに会いに行ったときに困るのが、職員がネームをつけていないということだ。父の日々の様子を訪ねるとき、何という職員と話をしたのかを覚えておきたいし、老人ホームの中を歩いている若い人達が、果たして職員なのか、尋ねてきた家族なのかわからないというのは困ったことだ。
わからないことが多い場所というのは不安なものである。これは私たち家族にとっても、入居者にとっても、同じではないか。
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★ プロフィール
HN:
井森 勝男
年齢:
64
性別:
男性
誕生日:
1960/05/05
職業:
夜間専門の介護職員
自己紹介:
某著名企業の総合職であったがほんの些細なことから退職、現在は年収150万で老人ホームの介護職員(夜間専門のパートタイマー)として働いている。認知症老人たちと私の、夜ごと繰り返される狂乱の宴。仕事でなければ決して近寄りたくないこの現実。介護する側、される側の悲哀。きれいごとの通用しないこの館で、今夜も私は試される。
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